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認知症を治す薬や治療はある?「治る可能性がある認知症」と「治らない認知症」

認知症でよくみられる行動「全般」について、特徴・原因・一般的な対策を紹介します。

認知症には「治る可能性がある認知症」と「治らない認知症」があります。「正常圧水頭症」や「慢性硬膜下血腫」などが原因で起こる認知症は薬や治療などで治る可能性が高いといわれています。しかし、アルツハイマー型などに代表される治らない認知症を治す薬や治療はありません。進行を遅らせたり、症状を緩和させることを目的とした治療を行います。

<もくじ>
●「治る可能性がある認知症」と「治らない認知症」がある
●四大認知症の原因と治療方針
●認知症を治す薬はある?新治療薬「レカネマブ」とは?
●認知症を疑ったら、早めの相談が大切
●早期の治療や正しい対応で「BPSD(行動・心理症状)」を抑えることができる
●認知症の方への対応「傾聴と観察が大切」
●認知症で困ったらここに連絡(相談先)
●認知症の予防や改善に大切なのはコミュニケーション
●まとめ

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介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)、デイサービス、ショートステイを提供するアズハイム。
多職種でしっかり対応してまいります。

「治る可能性がある認知症」と「治らない認知症」がある

認知症になると、脳に起きた障害により頻繁にもの忘れが起こり、自分がいる場所や時間などが把握できないことで生活に支障をきたします。そして、認知症には「治る可能性がある認知症」と「治らない認知症」があります。

治る可能性がある認知症は、主に「正常圧水頭症」や「慢性硬膜下血腫」「甲状腺機能低下症」などが原因で起こるもので、外科手術などの治療にともなって治る可能性が高いことから「治る可能性がある認知症」と呼ばれています。また、アルコール性認知症も断酒をすることで認知機能が改善する可能性が高く治る可能性がある認知症と呼ばれています。

一方、治らない認知症には、認知症の原因の6割以上を占める「アルツハイマー型認知症」や、「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」などがあり、いずれも脳細胞の障害から発症したもので完治は難しいといわれています。

四大認知症の原因と治療方針

「四大認知症」とは、「アルツハイマー型認知症」、「脳血管性認知症」、「レビー小体型認知症」、「前頭側頭型認知症」の治らない認知症のことをいいます。以下では、これらの認知症の特徴と治療方針を紹介します。

アルツハイマー型認知症

認知症の6割以上がアルツハイマー型認知症です。
このタイプの認知症は、アミロイドβというタンパク質が脳に蓄積して神経細胞に損傷を与えることが原因といわれています。

この蓄積により、特に「記憶力」や「判断力」などの認知機能に障害が発生します。現在のところ、アルツハイマー型認知症を完全に治すことはできませんが、投薬により進行を遅らせることは可能です。

しかし、投薬だけではなく、認知症を理解し、正しい接し方を心がけることも非常に重要です。これにより進行を遅らせたり、症状を緩和することが期待できます。

血管性認知症

認知症の原因第2位が血管性認知症です。
脳の血管が詰まったり、破れるなどすると脳へ十分な血液を送ることができなくなる場合があります。この状態が長く続くと、脳細胞へ送る酸素や栄養が不足し認知症が発症することがあります。

血管性認知症を完全に治すことはできませんが、投薬によって進行を遅らせることは可能です。また、投薬だけではなく、リハビリテーションをはじめ認知症を深く理解した接し方を心がけることも、進行の遅延や症状の緩和につながります。

レビー小体型認知症

認知症の原因第3位がレビー小体型認知症です。
この認知症は、レビー小体というタンパク質が脳に蓄積し、神経細胞に損傷を与えることが原因とされています。

レビー小体型認知症では、認知機能が徐々に低下します。また、良い時と悪い時の調子の波があるため、認知症の発見が遅れがちになることがあります。このタイプの認知症は、手足がこわばる「パーキンソン症状」、実際にないものが見える「幻視」、立ちくらみなどの「自律神経症状」などをともなうことが特徴です。

完全に治すことはできませんが、抗パーキンソン病薬により運動症状の改善を図るなど、症状ごとに薬を処方して症状を緩和させます。

前頭側頭型認知症

認知症の原因第4位が前頭側頭型認知症です。
この認知症は、異常なタンパク質が脳の神経細胞に損傷を与えることが原因とされています。

前頭側頭型認知症では、主に「記憶力」や「言語能力」の低下、さらには感情面での症状があらわれることが特徴です。完全に治すことはできませんが、薬物療法によってその進行を遅らせることが可能です。また、投薬だけではなく、認知症を理解し、正しい接し方を心がけることも非常に重要です。

認知症を治す薬はある?新治療薬「レカネマブ」とは?

完治が難しい認知症では、進行を遅らせる、または症状を緩和させる処置を行うことが一般的です。症状の程度によっては、投薬による治療も行います。

認知症の進行の遅延や症状の緩和には、早期の診断と治療が最も効果的です。そこで、認知症を疑うようなことがあったら、早期に医療機関や専門機関を尋ね、適切なアドバイスを受けましょう。

認知症の薬といえば、アルツハイマー型認知症の新治療薬「レカネマブ」が注目されています。この薬は「抗アミロイドβ抗体」と呼ばれる薬で、日本の製薬大手「エーザイ」とアメリカの「バイオジェン」が共同開発した認知症の進行を遅らせる薬であり、いままでの薬以上の効果が期待されています。2023年12月からは保険適用となり、一部医療機関で処方されています。

認知症を疑ったら、早めの相談が大切

認知症を疑うような症状に気づいた場合、早めに医療機関や専門機関へ相談することが重要です。例えば、もの忘れがひどくなったり、他のことに気を取られて本来の目的を思い出せないような状況が多くなったら、早めに相談します。

認知症の進行の遅延や症状の緩和には、早期の診断と治療が最も効果的です。この初期段階での対応が、長期的な「生活の質(QOL~Quality of Life)」の向上につながります。

また、外科的な処置などにより治る可能性が高い認知症も存在することから、症状に気づいた時点で早めに受診することが大切です。

早期の治療や正しい対応で「BPSD(行動・心理症状)」を抑えることができる

認知症になると、記憶機能、見当識機能、実行機能、認知機能などの様々な認知機能に障害が起こります。これにより、もの忘れがひどくなったり、新しいことを覚えられなくなる、理解力が低下するなどの認知症特有の症状があらわれます。これらの症状は「中核症状」と呼ばれる認知症のベーシックな症状です。

そして、認知症の方が強い不安や焦りを抱く環境に身を置き、強いストレスを感じるようになると、それが引き金となり「BPSD(行動・心理症状)」という二次的な症状が発症します。BPSDが発症すると、徘徊をはじめ、幻覚や妄想、暴言や暴力、抑うつなど周囲を驚かせるような症状があらわれ、介護の負担も一層大きくなります。

そこで、BPSDも認知症を疑った時と同様に、早期の診断と治療が大切です。ただ、BPSDは人間関係や環境で生じるストレスの高まりが発症の引き金になるため、誰しもが発症するわけではありません。そのため、いつもとは違う本人の様子に気付いたら早めの対応を心がけることが重要です。また、BPSDは抗うつ薬や抗不安薬などの投薬によって症状を緩和することができます。

認知症の方への対応「傾聴と観察が大切」

認知症の治療においては、投薬だけではなく、認知症の方と良好な関係を築くことも大切で、これにより症状の緩和が期待できます。これには、認知症の方の言動や行動を否定したり、抑えつけたりするのではなく、気持ちに寄り添った対応が欠かせません。

そこで、質問などを通じて本人の訴えに耳を傾け、言動や行動に至る本当の理由を探り、適切な対応を心がけます。また、思ったような答えがもらえない場合でも、行動を観察し、本人の自尊心を傷つけないように対応しましょう。

まとめ

認知症は、治せるもの(治る可能性が高いもの)と、治らないものがあり、後者の場合、認知症を治す薬や治療はありません。しかし、どちらの場合でも早めに専門機関へ相談することが重要です。早期の適切な対応は、症状の進行の遅延や軽減に有効的です。また、介護負担の軽減にもつながり、認知症の方を含めた家族全員の生活の質(QOL)を向上させます。

また、一人(家族)だけで悩まず、専門家や医療機関、専門機関のサポートを受けることが重要です。これにより、介護者のストレスを軽減し、自己嫌悪に陥ることを防止します。さらに、介護でストレスを感じる場合や適切な対応が分からない場合は、施設を利用することも検討しましょう。デイサービスやショートステイなどの介護施設では、専門の介護福祉士や認知症ケア指導管理士が安心のサポートを提供します。認知症に対する正しい理解と適切なケアは、患者と家族の生活の質を向上させる鍵となります。

介護は一人で抱え込まない。
介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)、デイサービス、ショートステイを提供するアズハイム。
多職種でしっかり対応してまいります。

【監修】
新井
アズハイムでホーム長やエリア長等現場経験を経て、現在はホームの入居相談を担当。

<参考文献>
川崎幸クリニック杉山孝博先生著 「認知症の9大法則 50の症状と対応策」
厚生労働省「認知症の行動と対応について」
厚生労働省「認知症の人と接するときの心がまえ」
厚生労働省「認知症介護研究報告書」
日本財団「早期発見が肝心。若者こそ知ってほしい認知症の予備知識」