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2021年08月05日

#研修

【ポリファーマシー改善アプローチ研修】~精神病薬の上手な使い方~

2021年7月28日、東京都千代田区にある株式会社アズパートナーズ本社と事業所をZoomで繋ぎ、オンライン研修を実施しました。

研修の希望アンケートの結果、学びたい内容としてダントツ1位だった『精神病薬・認知症治療薬について薬剤師さんの講義を受けたい』に基づいた研修です。
R3年3月に行われた「定例看護師MTG」内で「研修の希望アンケート」をとりました。その結果、学びたい研修として、『精神病薬・認知症治療薬について薬剤師さんの講義を受けたい』という内容がダントツ1位でした。そんな現場の声を基に、研修を企画致しました。「薬=医療=看護スタッフ」となりがちですが、アズパートナーズでは現場ケアスタッフの一人ひとりがご利用者の使用している薬剤について理解を深め、「本当に必要な薬か?量は適正か?」について常に学び続けています。

ホームで連携をさせていただいているセントラル薬局さんによる研修です。

参加メンバーについては興味がある方、学びたい方すべての方を対象としました。当日、PC接続80台を超え、休みの日にスマホから研修参加するスタッフもいたため、トータル参加メンバーは100人を超えました。
薬剤師さんから、精神病薬・認知症治療薬のいろはを学び、効能や用量を知りながら、一番重要な注意事項についても学びを深めることが出来た研修となりました。

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今回、講師を努めて下さった、セントラル薬局グループの藤山亮太さん(写真右から2番目)です。)

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シニア運営部の部長より、感謝状をお渡しさせていただきました。

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合わせて、薬剤分析チームのメンバーより、お礼の品をお渡しさせていただきました。

多剤併用(ポリファーマシー)によるリスクを学ぶ。

多剤併用による薬物有害事象の頻度や、転倒の発生頻度、睡眠導入剤による転倒・転落のリスクなどを、データを見ながら学びました。

認知機能の低下を理由とした「特に慎重な投与を要する薬物」に関しては様々な種類があり、それぞれが理解をしておく必要があります。

認知症について。

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認知機能は、記憶・知識・言語・理解・思考・判断などの総称です。認知症は、青年期以降に起こる認知機能障害(知能障害)により、日常生活や社会生活に支障をきたす状態を言います。
認知症には、アルツハイマー病を原因疾患とする「アルツハイマー型認知症」、レビー小体病を原因疾患とする「レビー小体型認知症」、脳卒中などの脳血管疾患を原因とする「脳血管性認知症」などがあります。

「抗精神病薬処方の原則」を学ぶ。

◼️主として、非定型抗精神病薬を用いる
◼️ごく少量から開始する (成人用量の1/3~1/4から開始)。
◼️漸増は少量ずつゆっくり行う。
◼️3~5日ごとにご利用者の様子を確認する。
◼️介護家族が「これでなんとか我慢できる」と考える量で止める。
◼️効果が確認できたら、早めに減量・中止を考える。

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プラセボ薬とは。

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有効成分を含まない(治療効果の無い)薬のことを言います。偽薬・だまし薬とも言われますが、偽薬でも実薬だと信じて服用すると、一定の薬理作用や治療効果が出る現象が起こります。
それを、「プラセボ効果」と言います。特に 不眠、うつ、痛みなどの「主観症状が主体の疾患」では、プラセボ効果が大きくあらわれます。
適切な薬物療法には、医療職⇄介護職の 連携が必須です。

プラセボ効果はなぜ起こるかというと、薬を飲んだという「安心感」、薬に対する「期待感」、主治医に対する「信頼感」、これ等が自然治癒力を引き出すと言われています。いわば、「思い込み」が作用する心理現象です。

研修参加者の声

【薬剤分析チーム:K看護スタッフ】
睡眠薬や精神薬について改めて薬剤師さんから学ぶという機会がないのでとても貴重な研修になりました。改めて学ぶと睡眠薬の薬効を見ながら中途覚醒や朝方の薬の切れがいいかどうかという視点も、看護スタッフとしては大事なアセスメントポイントであると考えさせられました。

使用しているお薬の適応や効果を現場スタッフがよくみて、往診時にDr・薬剤師さんに情報を伝えて必要以上の薬剤で「ドラッグロック」を引き起こさないように気を付けてみていきたいと思いました。
ドラッグロック=薬物拘束。本人にとって必要性があるからではなく、対応する側の都合により、薬物使用によって、本人の行動等を抑制することを示す言葉。

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【機能訓練指導員:Oアドバイザー】
アズハイムでは生活リハビリというものを進めている中で、薬剤によっては朝方、筋弛緩作用が働くという点が気になりました。朝方の転倒理由の原因として薬剤の筋弛緩作用があるのでしょうか?また、朝方というものは4時や5時、それとも朝8時でもあまり変わらず筋弛緩作用が働くこともあるのでしょうか?
▶︎筋弛緩作用が残っているということはあると思います。「半減期」というものは、薬が身体の中から半分になる濃度のことなので、例えば半減期6時間というお薬であれば、内服後6時間経過して薬の作用は半分。12時間経過して25%台となります。完全に薬が体の中からなくなるのは半減期の4倍くらいの時間がかかると考えられています。また、健常な成人の体内で薬の半減期をみた相場が基準になっているので、高齢者の場合は臓器の代謝能力が落ちている場合が多いのでより半減期は長くなる(薬が身体から抜けにくい)ということになります。

研修担当者の声「薬剤師さんが見た高齢者施設の危険な薬の使用についてお話しを伺いました。」

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精神薬を多剤併用して、どんどん過鎮静がかかってしまい、ADLが落ちてしまう現状を見た時に、とてもやるせない思いをしました。リスパダール内用液を乱用してしまい、体内への蓄積量も高いので処方した薬を指示のまま提供し、歩けていた方があっという間に寝たきり状態になってしまったケースを見ました。高齢者の場合は、一度ADLが落ちてしまうと元の状態に戻ることがかなり難しいという現状を知っているので「過鎮静」「乱用」ということがないように薬剤師として適正管理に携わっていきたいと思います。

我々、事業所で勤務する看護スタッフも実は「足し算医療」は簡単にできますが、状態が落ちついてから薬の使用量の見直しをしていこう、減らして経過をみていこうという「引き算医療」と言われるものが難しかったという現状がありました。
今回改めて使用薬剤による「過鎮静」や「乱用」、「ドラッグロック」の危険性も学ぶことが出来たので、お薬について「適正使用」という点で引き続きケーススタディーを繰り返しながら学び続けていきたいと思います。

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