介護付有料老人ホームの医療費控除はどこまで対象?範囲を解説
介護付有料老人ホームの費用は医療費控除の対象になる?控除の対象となる費用・ならない費用の違いや、確定申告の手順、必要書類についてわかりやすく解説します。
介護付有料老人ホームで提供される「特定施設入居者生活介護」の自己負担額や、家賃・食費などの施設利用料は、原則として医療費控除の対象になりません。ただし、施設利用料とは別に支払った医療費や、所定の証明書などを用意したおむつ代など、一部の費用は例外的に控除の対象となる場合があります。また、一定の疾病に該当する場合や、特別訪問看護指示書などが交付された場合には、医療保険による訪問看護を利用でき、その自己負担額が医療費控除の対象となることがあります。
このコラムでは、控除対象となる費用の範囲や、確定申告の手順について詳しく解説します。
<このコラムでお伝えしたいこと>
□介護付有料老人ホームの費用は原則として医療費控除の対象外。
□一定の条件を満たすおむつ代は、医師の証明書などにより控除を受けられる場合がある。
□一定の疾病などで訪問看護を利用した場合、自己負担額が控除対象となる場合がある。
<もくじ>
介護付有料老人ホームの費用は医療費控除の対象になる?
介護付有料老人ホームで医療費控除の対象になる費用【例外あり】
医療費控除を受けるための確定申告の手順と必要書類
医療費控除とあわせて考えたい、安心できる施設の選び方
人にやさしいケアと科学的介護|介護付有料老人ホーム
まとめ
Q&A|介護付有料老人ホームの医療費控除に関するよくある質問
参考文献|介護付有料老人ホームの医療費控除について

介護付有料老人ホームの費用は医療費控除の対象になる?
介護付有料老人ホームでかかる費用のうち、施設に対して支払う月額利用料や入居一時金は、原則として医療費控除の対象外です。
一方で、施設外の医療機関で支払った治療費や薬代は控除の対象となり、訪問看護を利用した際の自己負担額も、要件を満たせば対象となります。
対象になる費用とならない費用を正しく整理して理解しておくことが重要です。
原則として月額利用料や介護保険の自己負担分は対象外
介護付有料老人ホームで発生する費用は、大きく次の2つに分かれます。
□月額利用料・入居一時金:居住費、食費、管理費など
□介護保険の自己負担分:介護サービス費、生活支援サービス費など
これらはいずれも治療目的の「医療費」ではなく、日常生活を送るための費用とみなされるため、控除の対象にはなりません。
ただし、おむつ代など一部の医療関連費用は、所定の要件を満たせば控除の対象となることがあります。また、同じ介護関連の施設でも、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設、介護医療院などの介護保険施設では、介護費・食費・居住費の全部または一部が医療費控除の対象となります。
なぜ対象外?特別養護老人ホーム(特養)との制度上の違い
特養では、介護費・食費・居住費にかかわる自己負担額として支払った金額の2分の1が、医療費控除の対象となります。ただし、理美容代などの日常生活費や、特別なサービス費用は対象外です。
特養と介護付有料老人ホームでは、介護保険上のサービス区分と医療費控除の取扱いが異なります。特養の施設サービスは一定の範囲が控除対象となる一方、介護付有料老人ホームで提供される特定施設入居者生活介護は、原則として控除対象外です。
この違いは、単に公的施設か民間施設かという運営主体の違いによるものではなく、介護保険上のサービス区分と税法上の取扱いによるものです。
介護付有料老人ホームで医療費控除の対象になる費用【例外あり】
介護付有料老人ホームの施設利用料は、原則として医療費控除の対象外です。ただし、医療や治療に直接関係する費用については、例外的に控除の対象となるものがあります。
まず、控除の対象となる主な費用としては、医師や歯科医師による訪問診療の費用、治療に必要な医薬品の購入費、医療用器具の購入・賃借費などが挙げられます。これらは施設内で発生したものであっても、医療目的であれば対象となります。
また、施設利用料とは別に発生する外部医療機関での診療費や入院費(食事代・部屋代を含む)、通院にかかる交通費も控除の対象です。さらに、治療を目的としたあん摩マッサージ指圧、はり、きゅうなどの施術費も対象となります。
一方で、控除の対象とならないものもあります。
例えば、疲労回復や健康維持を目的とした施術費は対象外です。また、介護保険サービスについても、すべての費用が対象になるわけではなく、国税庁が定める対象サービスに該当する自己負担額のみが控除対象となります。
なお、特定施設入居者生活介護において「喀痰吸引」や「経管栄養」などの医療的ケアが行われた場合には、支払額の10分の1相当額が医療費控除の対象となります。さらに、一定の疾病に該当する場合や特別訪問看護指示書が交付された場合には、医療保険による訪問看護を利用でき、その自己負担額も対象となることがあります。
このように、介護付有料老人ホームでは、施設利用料そのものは対象外である一方、医療に直接関係する費用については条件付きで控除の対象となるため、内容を整理して確認することが重要です。
以下では、それぞれの内容について詳しく紹介します。
施設外部の医療機関で支払った治療費や薬代
介護付有料老人ホームの入居者が外部の病院やクリニックを受診して支払った診察代、治療費、処方薬の費用は、医療費控除の対象となります。これらは施設サービスとは別に発生する個人の医療費であるためです。
また、通院にかかった電車やバスなどの公共交通機関の交通費も対象に含めることができます。タクシー代については、病状や緊急性などにより公共交通機関の利用が困難な場合に限り対象となることがあります。
申告に備え、領収書や交通費の記録は必ず保管しておきましょう。
医師の証明書がある場合の「おむつ代」
おむつ代は、一定の条件を満たす場合に医療費控除の対象となります。
対象となるのは、傷病によりおおむね6カ月以上寝たきりの状態にあり、医師の治療を受けている人について、治療上おむつの使用が必要であると医師が認めた場合です。
原則として、医師が発行する「おむつ使用証明書」が必要で、確定申告時に添付または提示します。
ただし、証明年月日・証明書名・証明者名を医療費控除の明細書に記載し、証明書を5年間保存することで、提出を省略することも可能です。
また、令和7年1月1日以後に令和6年分以後の確定申告を行う場合は、一定の要件を満たせば、市町村が主治医意見書の内容を確認した書類やその写しを証明書の代わりとして利用できます。
訪問看護など特定の医療系サービスの自己負担額
一般の居宅では、介護保険による訪問看護や訪問リハビリテーションの自己負担額が医療費控除の対象となりますが、介護付有料老人ホームではこれらのサービスを別途利用することは原則できません。
ただし、一定の疾病に該当する場合や特別訪問看護指示書が交付された場合には、医療保険による訪問看護を利用できることがあります。この場合に発生する自己負担額は、医療費控除の対象となる可能性があります。
対象となるかどうかは、領収書に記載された保険区分や自己負担額を確認しましょう。
医療費控除を受けるための確定申告の手順と必要書類

医療費控除を受けるには、会社員であっても年末調整とは別に確定申告が必要です。
通常の確定申告期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。ただし、会社員など確定申告義務のない人が医療費控除による還付申告を行う場合は、医療費を支払った年の翌年1月1日から5年間提出できます。
年間の対象費用を集計して、国税庁の定める様式で「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付して提出します。
手続きは主に3つのステップで進めます。
【ステップ1】年間に支払った対象費用の領収書を集める
まず、1年間(1月1日から12月31日まで)に支払った医療費の領収書を保管します。
介護付有料老人ホームに関連する費用だけでなく、本人や、生計を一にする配偶者その他の親族のために申告者が支払った医療費を合算できます。
対象となる費用は、病院での治療費、薬代、通院交通費、そして前述したおむつ代や、一定の要件を満たす介護・医療サービス費などです。
これらの領収書は、「医療費控除の明細書」を作成する際の基礎資料となります。
領収書の提出は原則不要ですが、医療費控除の明細書を作成した場合は、原則として確定申告期限等から5年間保存します。ただし、一定の要件を満たす医療費通知を利用した部分については、保存が不要となる場合があります。
【ステップ2】「おむつ使用証明書」など必要な添付書類を準備する
次に、領収書以外に申告に必要な書類を準備します。
おむつ代を医療費控除の対象とする場合、原則として「おむつ使用証明書」が必要です。この証明書は医師が発行します。
ただし、令和7年1月1日以後に令和6年分以後の確定申告書を提出する場合は、1年目・2年目以降のそれぞれについて一定の要件を満たせば、市町村が主治医意見書の内容を確認した書類や、主治医意見書の写しを「おむつ使用証明書」の代わりに利用できます。
これらの証明書などは、原則として確定申告書に添付するか、申告書を提出する際に提示します。
ただし、証明年月日、証明書の名称、証明者の名称を医療費控除の明細書に記載し、書類を5年間保存する場合は、添付や提示を省略できます。
必要な書類については、国税庁のホームページなどで最新の情報を確認することをおすすめします。
【ステップ3】「医療費控除の明細書」を作成し確定申告書と提出する
最後に、保管しておいた領収書をもとに「医療費控除の明細書」を作成します。
この明細書には、医療を受けた人の氏名、病院・薬局などの支払先の名称、医療費の区分、支払った医療費の額などを記入します。
作成した明細書を確定申告書に添付し、税務署に提出します。
国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って入力するだけで書類を作成でき、オンラインでの提出(e-Tax)も可能です。
医療費控除とあわせて考えたい、安心できる施設の選び方
医療費控除の対象になる費用の多くは、外部の医療機関での治療費や訪問看護の自己負担額など、医療との関わりの中で発生するものです。入居後の暮らしを考えるうえでも、施設がどのような医療サービスと連携できるかは、費用面と日々の安心の両方に大きく関わってきます。
そのため、施設を選ぶ際には、費用の内訳や控除対象だけでなく、医療連携体制、日々のケアの内容、スタッフの対応、施設の雰囲気まで、総合的な視点で検討することが大切です。
経済的な側面と生活の質の両面から住まいを見つめることで、ご本人にとって本当に安心できる施設が見えてくるでしょう。
「将来の介護や医療ケアが不安な方へ」
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人にやさしいケアと科学的介護|介護付有料老人ホーム
介護付有料老人ホームの「アズハイム」では、ご入居者お一人おひとりの生活や想いを大切にしながら、日々の暮らしを支えています。
また、「EGAO link®」を活用し、体調や生活の変化に気づきやすい体制づくりにも取り組んでいます。
人の手によるあたたかいケアと、データを活用した科学的な介護。
その両方を大切にしながら、ご入居者が安心して、自分らしく過ごせる住まいづくりを目指している点が、アズハイムの特徴です。
ご入居者の「自分らしさ」を大切にする
アズハイムでは、ご入居者が「その人らしく暮らし続けること」を大切にしています。
施設での生活は、安全に介護を受けるだけのものではありません。これまでの生活習慣、好きなこと、大切にしてきた時間、これからやってみたいことなどは、ご入居者お一人おひとりによって異なります。
そのため、アズハイムでは日々の会話や関わりを通じて、ご入居者の想いや希望をくみ取り、その方らしい暮らしにつなげることを大切にしています。
たとえば、趣味や外出、季節のイベント、日々のちょっとした楽しみなども、暮らしに大切な要素です。
介護が必要になっても、「できないこと」だけを見るのではなく、「できること」「やりたいこと」に目を向けることで、ご入居者の前向きな生活を支えています。
「EGAO link®」で日々の変化を見守る
アズハイムでは、「EGAO link®」を活用し、ご入居者の日々の状態を見守る取り組みを行っています。
高齢になると、睡眠、食事、水分摂取、活動量、体調などの小さな変化が、体調不良や生活上の不安につながることがあります。
こうした変化に早めに気づくことは、安心した暮らしを支えるうえで重要です。EGAO link®は、ご入居者の生活や体調に関する情報を把握し、ケアに活かしています。
スタッフの経験や気づきだけに頼るのではなく、データも活用しながら、ご入居者お一人おひとりに合った支援につなげていきます。
もちろん、データだけで介護が完結するわけではありません。アズハイムでは、科学的な介護と、スタッフによる日々の声かけや観察を組み合わせることで、より安心できるケアを目指しています。
担当スタッフ制でお一人おひとりに寄り添う
アズハイムでは、ご入居者お一人おひとりに寄り添うため、担当スタッフ制を取り入れています。
担当スタッフは、ご入居者の日々の様子を把握し、ご本人の困りごとや希望、ご家族の不安などを受け止めながら、暮らしを支えます。
ご入居者にとっても、ご家族にとっても、相談しやすい相手がいることは安心につながります。
また、介護スタッフだけでなく、看護職員、機能訓練指導員、ケアマネジャーなど、多職種が連携しながら支援を行います。
身体の状態、生活の様子、リハビリ、健康管理、認知症への対応などを総合的に見ながら、その方に合った暮らしを考えていきます。
「住まい」として暮らせる環境づくり
アズハイムが大切にしているのは、介護を受けるためだけの場所ではなく、ご入居者が安心して暮らせる「住まい」としての環境づくりです。
日々の食事、リハビリ、レクリエーション、季節の行事、他のご入居者やスタッフとの交流など、毎日の暮らしの中には多くの時間があります。
そうした一つひとつの時間を大切にすることで、ご入居者が楽しみや役割を持ちながら生活しやすくなります。
また、ご家族にとっても、安心して相談できる施設であることは重要です。
入居後の様子を共有し、不安なことを相談しながら、ご本人の暮らしを一緒に支えていける体制があると、家族も安心して見守りやすくなります。
「アズハイムの暮らしを知りたい方へ」
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まとめ

介護付有料老人ホームの施設利用料(月額利用料など)や、介護保険の自己負担分は、原則として医療費控除の対象外です。
ただし、施設料とは別に支払った医療機関への治療費や薬代、一定の要件を満たすおむつ代、医療保険による訪問看護などの費用は、医療費控除の対象となることがあります。
対象となる費用を正しく把握し、領収書や必要な証明書類を保管したうえで、確定申告を行うことが大切です。
不明な点は施設の担当者や税務署に確認し、適切に手続きを進めましょう。
Q&A|介護付有料老人ホームの医療費控除に関するよくある質問
Q1.介護付有料老人ホームの月額費用は医療費控除の対象になりますか?
A.いいえ、原則として医療費控除の対象にはなりません。 月額費用は、家賃・食費・管理費などの住居・生活関連費と、介護保険の自己負担分(介護サービス費、生活支援サービス費など)に分けられますが、いずれも治療費ではなく、日常生活を送るための費用とみなされるためです。
Q2.なぜ特別養護老人ホーム(特養)とは扱いが違うのですか?
A.特養では、介護費・食費・居住費にかかわる自己負担額の2分の1が控除対象です。
一方、介護付有料老人ホームで提供される特定施設入居者生活介護は、国税庁上、医療費控除の対象外に区分されています。
Q3.おむつ代を医療費控除の対象にするには何が必要ですか?
A.原則として、医師が発行する「おむつ使用証明書」が必要です。
ただし、令和7年1月1日以後に令和6年分以後の申告書を提出する場合は、一定の要件を満たせば、市町村の確認書類や主治医意見書の写しで代用できます。
Q4.入居者が施設から病院に通った際の交通費は対象になりますか?
A.通院のために直接必要で、通常必要と認められる電車やバスなどの交通費は、医療費控除の対象になります。領収書がない場合は、日付、区間、運賃などを記録しておきましょう。
Q5.領収書は確定申告で提出する必要がありますか?
A.いいえ、領収書の提出は原則不要です。
ただし、医療費控除の明細書を作成した費用の領収書は、原則として確定申告期限等から5年間保存します。一定の要件を満たす医療費通知を利用した部分については、保存が不要となる場合があります。
Q6.確定申告はいつ、どのように行えばよいですか?
A.通常の確定申告期間は、原則として医療費を支払った翌年の2月16日から3月15日までです。ただし、医療費控除による還付申告のみを行う場合は、翌年1月1日から5年間提出できます。税務署の窓口のほか、郵送やインターネット(e-Tax)で申告できます。
Q7.医療費控除の明細書はどこで手に入りますか?
A.税務署の窓口で入手できるほか、国税庁のホームページからダウンロードできます。
また、同サイトの「確定申告書等作成コーナー」で直接入力して作成も可能です。
Q8.施設が発行する領収書で対象項目は分かりますか?
A. 医療費控除の対象となる介護保険サービスについては、事業者や施設が発行する領収書に、基本的に「医療費控除対象額」が記載されます。まずは領収書の内訳を確認してください。
Q9.医療費控除で実際にはいくらお金が戻ってくるのですか?
A.医療費控除額は、「支払った医療費-保険金などで補てんされる金額-10万円」で計算し、最高200万円です。ただし、総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく総所得金額等の5%を差し引きます。
所得税の還付額は、医療費控除額、課税所得、所得税率、復興特別所得税、すでに納めた所得税額などによって異なります。医療費控除額の全額が、そのまま戻ってくるわけではありません。
<参考文献>
国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」
国税庁「No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」
国税庁「No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」
国税庁「寝たきりの者のおむつ代」
厚生労働省「介護保険制度の概要」
東京都主税局「医療法人等に係る所得金額の計算書」
公益財団法人生命保険文化センター「医療費控除について知りたい」

